死後事務委任契約-佐野市・栃木市で相続相談は司法書士 田中事務所

1.死後事務委任とは

・自分の死後の葬儀、私物の整理、公共料金などの契約の解約などの整理をお願いする人が近くにいない
・親戚は近くにいるが、あまり迷惑をかけたくない

死後事務委任契約

※子供がいない場合など、親戚に頼んでもいいかもしれないけれが、かえっていろいろ気をつかうことになる、などといろいろお考えになることがあるかとも思います。そのような場合、第三者に費用を支払って依頼してしまう方が気が楽な場合もあるかと思います。

※老後の財産管理、任意後見契約を併せて締結する形が万全ではありますが、ご事情に合わせて対策していただいてもよろしいかと思います。



2. 死後事務の主な内容

【1】 医療費の支払いに関する事務
【2】 家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務
【3】 老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務
【4】 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
【5】 菩提寺の選定、墓石建立に関する事務
【6】 永代供養に関する事務
【7】 相続財産管理人の選任申立手続に関する事務
【8】 賃借建物明渡しに関する事務
【9】 行政官庁等への諸届け事務
【10】 以上の各事務に関する費用の支払い



3.死後事務委任契約の流れ等

報酬
死後事務委任契約書作成5万円~ *公正役場への費用は別途
死後事務受任5万円~
死後事務預り金①現金で預かる
(死後事務執行の為の報酬及び実費) *後記参照 ②遺言書を同時に作成し、死後事務用の口座を特定しておく
③民事信託を活用し、信託口座に入れておく。*後記民事信託との併用参照 
契約後相談料1回5,000円
死後事務執行費用*次の表を参照


4. 死後事務の報酬

事務の内容費用
医療費の支払いに関する事務 2万円~
家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務 5万円~
老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務2万円~
通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務15万円~
菩提寺の選定、墓石建立、散骨に関する事務 15万円~
永代供養に関する事務 10万円~
相続財産管理人の選任申立手続に関する事務 15万円~
賃借建物明渡しに関する事務 10万円~
行政官庁、電気ガス、電話会社等への諸届け事務 1箇所1万円~

*実費は別途です。



5. 死後事務と民事信託の併用

死後事務委任

死後の事務について契約する



財産管理信託

死後の事務を行う為の金銭についての管理をする信託契約をして、
ここから死後事務の為のお金を拠出する。
民事信託を項目をご覧下さい。



6.死後事務及び財産管理信託のしくみ



6.死後事務及び財産管理信託のしくみ

契約で、死後に依頼したい事務の内容を決めておく。例えば、3回忌、7回忌、13回忌など、いつまで法要をしてもらうか決める。あるいは、49日法要までしてもらったら、あとは、墓じまいで永大供養してもらうなど、どのようにしてもらいたいか決めておく。(生前に墓じまいをしておく場合は、埋葬まで依頼する、埋葬後、菩提寺にまかせるなど。)
契約に定められた事務が終了したら信託終了とする。



7.死後事務委任及び財産管理信託のメリット

信託している場合   信託していない場合
委託者が認知症になった場合でも、信託された財産は受託者がそれまでと変わらず管理できる。 本人が認知症になった場合、後見人を選任しなければ、預金口座のお金を動かすことはできなくなる。注1
委託者が死亡した場合でも信託された財産は、受託者がそのまま使用できる為、葬儀など必要な費用をすぐに支出できる。 本人が死亡した場合、口座が凍結される為、葬儀など必要な費用をすぐに支出することができなくなる。注2
死後事務委任の為の信託契約により、目的に沿った使用をしてもらえる。 死後事務を親族にお願いし、預かり金を渡すだけの場合、目的通りに使われない場合がある。
信託口口座での管理により、受託者の財産とはっきり分離できるので安心できる。 死後事務委任用の金銭の管理があいまいになる。

注1 年金の管理、身上保護などは後見制度をご利用いただくことになります。民事信託と後見制度は併用することにより、より安心できるものです。
注2 相続法の改正により、相続人の一人から金融機関に預金の一部の払い戻しを受けることが
  できるようになりますが、金額に制限があり、金融機関に行って手続きをする煩雑さがあり、すぐにお金を動かしたい場合には不向きな場合があります。



8.死後事務及び財産管理信託のデメリット

信託している場合

毎年、きちんと財産管理したものを報告しなければならない煩雑さがある。 馴れ合いにならずきちんと管理してもらえる。祭祀費用、入院費用の支払いの場合、期間も限られ、事務の内容も少ない為、それほど負担にはならない。
信託契約時の費用等がかかる。 口約束だけのリスク回避として割り切る。
受託者への報酬が発生する場合がある。 受託者の事務に対して、きちんと報酬として渡すことができる。
受益者代理人、信託監督人など、第三者に依頼した場合、報酬などの費用がかかる。 必須の機関ではありませんが、受託者の事務のチェックだけでなく、事務を補佐してもらうことができる。


9.死後事務委任執行費用の管理

死後事務委任契約を締結した場合、死後事務の執行の為の費用(実際に死後事務にかかるお金と受任者(死後事務を行う人に支払う報酬)をあらかじめご準備していただくことになります。

死後事務の為の費用の管理のパターン

①契約した段階で預り金を受任者に預ける 事前にまとまった金銭を預けておくことに抵抗を感じる場合がある。
②遺言書を同時に作成し、遺言書の中で、死後事務用の口座を設けておく 死後すぐに金銭を引き出したい場合など、なかなかすぐに遺言書を開封してということにはならないかもしれない。
③同時に民事信託を利用し、金銭は信託口座に入れておく。 死亡後すぐに金銭を引き出すことができる。信託口口座でのきちんとした管理ができる。ただし、遺言書作成と比較して信託は費用が高額になる。